仲坪由紀子について本当のことを言う。 (青木柳葉魚)

本当のことを言う。ごめんなさいっ!!

仲坪さんとは14年前(!!)にタテヨコ企画の公演で共演している。
とはいえ、シーンでの絡みはほとんどなく、例によって例のごとく僕は「引きこもり気味の男」役の「引きこもり気味」な人間だったので会話もほとんどしていない。当然、特にやりとりも無かった。
しばらくして、自分が演出をやるようになった。その頃から芝居を観る目が少し変わったんだと思う。
舞台で観る彼女の姿はいつも全力でカッコよかったりバカだったりしてとても印象的だった。そしてどこか生活や人間味が滲んでいるように思えた。
すごい先輩だぞ、この人は。
そう思ってから何かにつけご一緒にできないか、またできるような人間にならないとと思ってきた。

『橋の上で』の企画が動き出してオファーする人を決める時すぐに仲坪さんの名前を出した。今村さんの回でも書いたが今回は資料を読んだ時のイメージが強くて、どうしてもお二人に夫婦役をやってもらいたかったのだ。
こういう役ですということをお伝えして出演していただけることになった。
よっしゃー!バリバリ書くぜっ!
というところで立ち止まった。
全然書けねぇ。。
当初、僕は『橋の上で』を家族を中心に描いた母と娘の支配関係の話にするつもりだった。
だから満を持して仲坪さんにお声がけしたのだ。
それなのに。。悩んだ。
ストーリーの展開やら内容やらを全部考え直した。
その結果、夫婦の役割がだいぶ小さくなってしまった。。
さらに稽古中、元々仲坪さんにお願いしようとしていた出演シーンが大幅に変更になり出番が減ってしまった。
マジで僕は凹んだ。豆腐の角に頭ぶつけて100回死ねと思った。
この場を借りてもう一度お詫びしておく。
ごめんなさいっ!!
仲坪さんは稽古場で皆を引っ張ってくれたし、演出にもとても有益な指摘をしてくれた。
とにかくいつも前向き。
もう感謝しかない。
そしてそして。
声を大にして本当のことを言う。
彼女はその立ち振る舞いで台本上に書くことができなかった母娘の関係を浮かび上がらせてくれている。
スゴい。本当にスゴい。

仲坪由紀子をぜひ観てください。
華があるのに陰を見せるその演技には彼女の生き様が表出していると思います。
またご一緒してくださいっ。。