いまい彩乃について本当のことを言う。 (青木柳葉魚)

本当のことを言う。彼女がいなかったら台本ができなかった。
もう一つ本当のことを言うと、彼女の演技を見たことがなかった。
 
まぁ、本当にまったく見たことがなかったわけではない。
2年前、劇団チョコレートケーキの『帰還不能点』という公演に彼女はアンダー(代役)として稽古に参加していたからだ。
出演者の誰よりも早く台詞を頭に入れ、細かい段取りもキチンと覚えていて、しっかりした人だなぁととても感心したのを覚えている。
とはいえ、それが純粋に彼女の演技かと言えばそういうわけではないと思う。実際、しっかりした人という印象はあったがどんな演技だったかは覚えていなかった。

『橋の上で』の話に戻る。
去年の夏頃、話の軸になる女性の新聞記者の役のイメージもキャストも決まらずちょっと困っていた。そろそろホントにヤベーぞと。
そんな時に目の前をフラフラしていたのが彼女だった。
フラフラって。。
某公演の裏方として小道具や衣装のお手伝いをしていたのだ。
例によってしっかり者なのでテキパキ仕事をこなす。いつも明るく丁寧で、オッサンにも話を合わせてくれる(ここ大事!)
この人だ!この人しかいねぇ!と即決・・・したわけでもなかったが、
あーそーかー、こーゆー感じもいいよなぁーとキャラクターが育って台本を書き始めることができた。
そうやって書き出しちゃったからには彼女を配役しないわけにはいかない。
しかし、演技を覚えていなかったのでちょっと心配ではあった。
でもまぁ、古川君(劇団チョコレートケーキ)のめんどくさい、、もとい、難しいセリフをきちんと言えてたんだから大丈夫か。と勝手に安心して声をかけた。
 
気がついたらセリフをどんどん書いてしまっていた。結構な量だ。
あれ。。ちょっと。。不安かも。。
もういいや、いざとなったらいまいと心中だ!
そう思って稽古が始まった。
決して器用ではないし、真面目だからストレートしか投げられない。
でも、そこが彼女の一番良いところだと思う。
とにかく一生懸命。
その姿勢を嫌味なく最後までやり遂げられるのは才能だ。
少なくとも僕にはできません。。
 
いまい彩乃をぜひ観てください。
一生懸命に一つ一つ課題をクリアして、舞台上できっちりと生きています。
がんばれ。